目 的

近年、「日本再興戦略2016」、「世界最先端IT国家創造宣言」、「教育再生実行会議第七次提言」、「新産業構造ビジョン」などの政府方針においても、各種イノベーションを創起するためには、情報技術の活用は必要不可欠と記されており、プログラミングや情報セキュリティ等、情報の科学的な理解に裏打ちされた情報活用能力を身につけることが重要であると考えられている。次期学習指導要領でも高等学校で、情報I、情報II(ともに仮称)の科目でこのような資質・能力に関する教育を行おうとしている。中国や韓国などでも、情報関連科目は必修科目として位置づけられており、我が国が今後も国際競争力を維持するためにも重要な事項となっている。

今後の大学入学者選抜においては、「知識・技能」に加え、「思考力・判断力、表現力」や「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」に関する評価も重視する必要があり、これにはCBT (Computer Based Testing)システムの利用が想定されている。コンピュータ技術と密接に関連している情報科の選抜試験では、その整合性を最大限に活用する評価手法が望まれている。

このような状況を鑑み、本調査研究では、情報学的アプローチによる「情報科」大学入学者選抜における評価手法の確立を目的とした研究開発を実施する。具体的には以下の4つの事業に関する研究開発に取り組む。

 (1) 「情報科」入試実施における評価手法の検討

次期学習指導要領を加味した知識体系の整理、理工系大学教育の分野別質保証、参照基準を考慮した「情報科」入試評価項目の検討、情報科での「思考力・判断力・表現力」評価手法の検討、模擬試験の問題作成と実施を行なう。

(2) 「情報科」CBTシステム化に関する研究

「知識・技能」+「思考力・判断力・表現力」を評価するためのCBTの機能性検討、「情報科」試行用CBTプロトタイプシステムの仕様策定、「情報科」試行用CBTプロトタイプシステムの構築と試行実施、大規模CBT構築への要求要件整理を行なう。

(3) 情報技術による入試の評価に関する研究

AI(Artificial Intelligence)/ビッグデータ技術による試験問題の評価(難易度、評価項目の被覆率等)、AI/ビッグデータ技術による作問検討、模擬試験結果とルーブリックによる検証、CBTの新たなユーザ・インタフェースの検討を行なう。

(4) 広報活動と動向調査研究

「情報科」大学入学者選抜に関するシンポジウムや大会セッションなどのイベント企画、高等学校や予備校などとの連携、産業界での情報関連スキルのニーズ調査、国内外の動向調査、他教科評価手法検討への知識供与を行なう。

 

上記のように、本事業は、情報学的なアプローチから新しい大学入学選抜試験の評価手法について検討するものであり、その成果、特にCBTに関する知見は「情報科」の評価に加え、他教科の評価に対しても活用が期待できる。このため、まずはCBTシステムならびにマニュアルの整備により、「情報科」入試実施を検討する多くの大学でその成果を共有・活用できるように事業を推進する。また、「情報科」で得られるCBT活用に関する知見を体系的に纏めることにより、他教科の評価手法を検討する際の一助となるように留意するとともに、今後計画されているCBTフィージビリティ検証事業への成果展開も視野に入れる。

本事業で対象とする、「情報科」新学習指導要領を学修した者に対する大学入学者選抜試験は、平成36年度より実施予定であるが、それまでの間にも、研究開発成果の共有を進めることで、下記のように多面的に普及をはかる。

 ・国公私立を問わず「情報科」入学試験を採用している大学への評価手法の提供
 ・他教科CBT導入検討の支援
 ・受託機関で実施する入学試験への早期(平成36年度以降)導入準備
 ・「大学入学者学力評価テスト(仮称)」での「情報科」導入および大規模CBT実施の検討に向けた知見提供

情報処理学会の情報処理教育委員会と連携することにより、これらの普及・啓発活動や、本事業で検討した「思考力・判断力・表現力」に関する評価手法の分析を継続的に行っていく。

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